こんばんは。
デジタル活用コンサルタントの黒木やすひろです。
情報システム部門がない、
IT専門の担当者がいない、
ITに詳しい人もいないというのは
従業員数の少ない会社では当たり前。
社長であるあなた自身もITに強いわけでは無い。
そんな状況でもIT・デジタルを活用して
業務効率化や生産性向上ができる。
なぜなら今の時代、
プログラム開発なしですぐに利用できる
クラウドサービスがあるから。
前回までこんなことをお伝えしてきました。
それじゃあ早速うちも!と言って
コンビニでお弁当を買うように、
通販サイトでポチッとするように
簡単にクラウドサービスを選んで
期待した結果がでるかというと
さすがにそんなことはありません。
今回はクラウドサービスと導入を支援してもらう
ITベンダーさんの選び方についてお伝えします。
目次
サービス・ベンダー選定のながれ
クラウドサービスと導入ベンダーさんを選ぶ際の
基本的な流れは次のようになります。
①やりたいこと・なりたい姿を明文化する
②やりたいことが実現できるサービスを探す
③支援してくれるベンダーを選ぶ
④サービス・ベンダーを決定する
各ステップの簡単な説明は次の通りです。
①やりたいこと・なりたい姿を明文化する
現状分析や企画工程と言われるステップです。
クラウド導入に限らず、システム開発・導入が
失敗する原因の多くがこのフェーズにある
と言われるほど重要な工程です。
②やりたいことが実現できるサービスを探す
①のステップで考えた目的や目標を達成する
ために必要な機能を洗い出し、
その機能を満たすことのできるサービスを
選定するステップです。
③支援してくれるベンダーを選ぶ
自分たちだけでサービス導入を進めるのが
難しい場合、そのサービスに関する知識が
豊富なITベンダーに支援を依頼します。
②のサービス選定と同時に進めることが多いです。
④サービス・ベンダーを決定する
②③の検討結果を踏まえて
導入するサービスとベンダーを決定します。
このあと、①から④の各ステップを
どのように進めるのかご説明します。
「どうなりたいのか」が一番大事
まず最初に取り組むのは、
- 今一番何に困っているのか
- なぜ今そうなっているのか
- どのレベルまで改善したいのか
- その為に何をどう変えるのか
をはっきり決めて明文化することです。
たとえば、
経理さんの残業時間を削減したいとして、
経理さんの今の仕事の様子が次のような感じ
だったとします。
『経理さんの残業の多くは締めの時期
伝票の整理や会計ソフトへの登録も多いが
営業さんが経費精算のために会社に戻り
精算伝票を書いてくれるのを待って
それから精算処理をする必要があるため
終わるのが夜遅くなってしまう』
この時、今の問題点をどうとらえるかで
解決策の方向性は変わってきます。
- 伝票登録が面倒で時間が掛かる
- 営業さんの帰社を待つ必要がある
a.が一番の問題と考えた場合、
伝票登録を自動化できるようにする。
たとえば、紙の伝票をスキャンして
読み取った数値を会計ソフトに入力できる
クラウドサービスを導入します。
b.を一番の問題と考えると、
営業さんが外出先で経費精算できるようにする。
クラウド経費精算システムを導入します。
どちらもよくある解決策、定番の解決策です。
しかし、今回の設定では
経理さんの残業が長くなっているのは
営業さんが会社に戻るのを待っているからなので
a.の対策よりも、b.の対策の方が
高い効果を見込むことができます。
このような分かりやすい例であれば
a.を選ぶことは無いと思いますが、
実際にはb.案を考える前に
a.案のサービスに飛びついてしまい
先にやるべきことが置き去りにされる。
という例を多く見かけます。
クラウドサービスの普及で簡単になったとはいえ
IT・システムを導入するには、やはりある程度の
時間・労力・お金といったコストがかかります。
せっかくコストをかけるからには、
できるだけ効果の高いモノを選びたいですよね。
その為に一番大事なことなのに
軽く扱われている、省かれている
ことが非常に多いのがこの作業です。
この段階で
なぜ・何のためにやるのか=目的
どこまで・どの程度やるのか=目標
をはっきりと決めておくことで
クラウドは導入できたけれど
新たにコストをかけて
今まで大変だったことが
別の大変なことに置き換わっただけ
という最悪の結末を避けることにつながります。
あったら便利はなくても平気
やりたいこと・なりたい姿が明確になったら
次に、やりたいことを実現するために必要となる
仕組み・機能を洗い出します。
この時も、はじめに明文化した目的と目標
が大事になります。
いろいろなサービスを調べ始めると
便利な機能が数多く紹介されているため
あれも便利、これも欲しいと
つい多くの機能を取り入れてくなります。
しかし、
新しい機能を多く取り入れるという事は、
今のやり方を変える部分が多くなる
ことになり、具体的に新しい仕事の手順を
考える負担が大きくなってしまいます。
また、そもそも多機能なサービスは
たいていその分高価になりますから、
高いお金を払って、使いきれない道具を買う。
といったことになりかねません。
目的・目標にそって欲しい機能に
優先順位をつけること、そして、
目標達成に関係ない便利機能は採用しない。
という思い切りが、導入成功のカギになります。
パートナー選びは使い始めた後を考えて
クラウドサービスを選ぶのと同じくらい重要なのが
サービス導入の支援や、使い始めた後のサポート
を依頼するITベンダー選びです。
クラウドサービスの提供元と直接契約して
あとは自分たちで使いながら覚える。
というサービスもありますが、
使える機能が多いサービスの場合、
使い始める前の初期設定を
全て自分たちだけで実施するのは
難しいことが多いです。
そのため、クラウドサービスの代理店などの
ITベンダーさんに支援を依頼し、
こちらのやりたいことにあった初期設定を
実施またはアドバイスしてもらうことになります。
この時、依頼するベンダーさんの力量や
サポートの範囲によって
サービス導入時の自分たちの負荷が大きくなったり
利用開始してから想定外のトラブルが起きたりして
サービス導入の成否を左右することにもなります。
ですので、支援を依頼するベンダー選びは、
ある意味サービス選びよりも重要です。
会社の規模や知名度で安易に決めず
営業さんや説明してくれるエンジニアさんの
受け答えの的確さや態度、誠実さなど
総合的に評価する必要があります。
まとめ~開発がないからこそ選定は丁寧に~
このように、クラウドサービスと導入ベンダーの選定は
すぐに始められるクラウドのイメージとは異なり
しっかりとした手順を踏んで行う必要があります。
プログラム開発がない分、この選定フェーズが
期待した結果が出せるかどうかを左右する
といっても過言ではありません。
自分達だけで選定を進めるのが難しい時は
ITベンダーに声をかける前に
現状の分析やサービス選定を支援する
コンサルタントにサポートしてもらう事も
考えてみると良いと思います。